コスパという概念などを軽く超越した奇跡の焼鳥屋 奥沢"やきとり 駅"について
田園調布に暮らし始めて約2年。
世界で一番好きな焼鳥屋が自宅の近くにある。
環八の歩道橋を越えた先にある街、奥沢。
最近はオシャレカフェがしのぎを削る、知られざるコーヒーの街。
駅前から伸びる古き良き商店街、そのちょうど真ん中あたり。
“やきとり 駅”。
平日も満席となっている日は多く、老若男女から愛されているようだ。
年季の入った引き戸の柄はそう、小学校3年の国語の教科書でおなじみ、モチモチの木のそれだ。
どこか懐かしさ、そしてストーリー性のある哀愁を店内に漂わせている。
駅は焼場に立つ旦那さん(通称マスター)と素敵な笑顔を振りまく女将さんが切り盛りしている。
ホールに立つのは就職活動中の大学4年生Y、私生活は謎に包まれた綺麗系のお姉さん、そしてたぶんYの友達の大学生の3人。
Yは実家が近所にあって通勤は自転車。休日などで商店街でぐ偶然すれ違うとまるで友達かのように声をかけてくる。
そしてYは謎の馴れ馴れしさで勤務中にも関わらずLINEのID交換を求めてくる。
連絡先の交換に応じた結果、後日飲み会で酔っぱらったときに「いま何してんだよ?飲もうぜ」とタメ口で連絡をしてくる。
Yは大学生、ぼくは今年、29歳だ。
駅の持ち味はなんといっても圧倒的なホスピタリティとサービス。
席に着くとまずおしぼり、そしてファーストドリンクを注文、乾杯。
本日は梅干しサワーだ。
メニューにはないが、お願いすれば快く提供をしてくれる。
そしていよいよ食事のオーダー、と思いきや、こちらの“おでん”が席に置かれる。
滋味のあふれる、それでいて食べやすいサイズの何とも嬉しい“おでん”である。こちら、お通しというわけではなく、なんと店のご厚意…!普通の居酒屋であれば軽く380円(税抜)くらいとられてもおかしくない。
その後焼鳥の注文を済ませ歓談をしていると今度は“枝豆”が出てくる。
「おいおいさすがに頼んでないぜ!?注文ミスか⁉…」
ご厚意である。駅…ちょっとやりすぎじゃないか?普通よりもちょっと長めにゆでた感じ、いい塩梅のホクホク感がたまらない。
年々食が細くなってくるアラサーサラリーマン。この“おでん”と“枝豆”だけでおなか一杯になる。決して過言ではない。
そしてお待ちかねの焼鳥がこちら。
炭火の香りが鼻腔をくすぐる。
ちなみにテーブルのメニュー表にはないがわ豚バラや豚カルビなど焼豚串も注文可能だ。
ちなみに端にある“焼きピーマン”、“トマトの肉巻き”はこれまたご好意。
ありがとうございます。
というかこのご時世、なんなら野菜のほうが高いというのに…どうなってやがるんだ…
カウンターに座ると軽快なリズムで焼場に立つマスターの手さばきを間近で見ることができるのでおススメである。
続いて“なす焼き”の登場。
炭火でじっくりジューシーななすの上に大量のかつお節、小ネギが嬉しい。
秋の初めにぴったりの一品。
2杯目、梅干しサワー、梅干しを追加だ。
追加の串で“サビ焼き”。
鳥肉の上にワサビソース、その上には海苔、カイワレ、祭りだ。
そしてご覧の通り串1本に対して“アスパラ巻き”、“梅きゅうり”が鎮座してらっしゃる。
これもご厚意、いやごごごごご厚意である。
神だ。
駅は皆の心の駅であり、神なのだ。
八百万の神々の一員、それが駅だ。
3杯目、梅干しサワー、梅干しを再追加だ。
たくさんのご好意のおかげか、にすっかりおなかが満たされてきた。
最後はやっぱり悪魔的中毒性を有する炭水化物、そう、おにぎりだ。
こちら“焼きおにぎり”はおしんこも付いてきて締めにぴったりである。醤油ベースの香ばしい焼き目の香りがたまらん、たまらんのじゃ。
最後はダメ押しの“あさりのお味噌汁”を頂き(もはやわかると思うのですがこれまたご厚意)、ほっこりお会計。
女将さんのお見送り笑顔にさらに心が満たされる。
まとめ
駅は注文した料理以上に美味しいサービスを惜しみなく提供してくれる、最高の焼鳥屋である。
また来ます、マスター。ありがとう、駅。
(駅のおにぎりに使われているお米が一番好き)